これだけで7割は決まる、文章の「つかみ」の書き方

前回は「文章は漫才」であり、読者と筆者のボケとツッコミが絶妙に行われている文章がおもしろくて、読みたくなる文章だとお伝えしました。では、実際にどう書いたらいいのでしょうか。今回はその実践方法をお教えします。

早速ですが、何か文章を書いてみましょう!
唐突ですよね。もちろん書けるわけがありませんよね。すみません。なぜ、こんなことを言うかというと、文章を即興で書くなんて難易度が高すぎることをお伝えしたかったからです。

文章を書くときは準備が大切です。漫才も同じですよね。ネタづくりがあって、ネタの錬磨があって、何度も練習を繰り返して舞台に立って本番を迎えることができるのではないでしょうか。

では仕切り直して、準備をはじめていきましょう。
まず書きたいことがないとはじまらないので、今回は定番の作文テーマ「わたしの夢」で考えていきます。

読む前に、すでにツッこまれている?

「わたしの夢」と聞いて、もし自分が誰かの作文を読む立場だったら、このテーマを見たときにどんな感情が湧いてくるかを考えてメモしてみてください。

へぇ〜、どんな夢なの?
どうせ、ありきたりな夢でしょ。
そもそも、あなたは誰?
他人の夢になんて興味ないんだけど・・・
その話って、私に関係ある?

どうでしょうか。上記は私が感じたことを書いてみました。積極的に読みたいという感情よりも、批判的な感情が多くなかったですか。

テーマに興味があったり、書いている人が好きな人だったりしない限り、肯定的な感情は生まれないと思います。それ以外は、意識してみると批判的な感情が多いことに気づきます。
いわば読む前からツッこんでいるんです。まず、このツッコミにうまい返しをしないと、その文章は冒頭で読まれなくなります。

たとえば、こんな文章はどうでしょうか。

私の夢は、サッカー選手です。スペインリーグで活躍したあと、Jリーグに移籍し日本で活躍しているザビエール選手に憧れています。ザビエール選手のプレースタイルの特徴は、攻撃のチャンスを生むためのスペースをつくる上手さです。自分もザビエール選手のプレイスタイルをめざし、サッカー部の練習を頑張っています。
(※ザビエールは架空の人物です)

これでは「へぇ〜そうなの」で終わります。

はじめに多くの方が失敗するのは、みんなが読んでくれるという前提で文章を書きはじめているからです。ところが、読者が読みたくてしかたがない文章って、多くありません。好きな人の手紙やファンである芸能人・作家のエッセイならそうかもしれませんが、読者は「何かおもしろいことでも書いてあるのかしら?」と斜に構えているものです。

読む前のツッコミに、どう返すのか?

では、前述のツッコミへの返しを考えてみましょう。

へぇ〜、どんな夢なの?
→サッカー選手
どうせ、ありきたりな夢でしょ。
→ザビエールのような一流選手です!
そもそも、あなたは誰?
→サッカー部所属の中学3年生
他人の夢になんて興味ないんだけど・・・
→そうとはいわず、すごい夢だから聞いてよ
その話って、私に関係ある?
→???

上3つは簡単ですが、下2つは難しくなかったですか。でも、この2つこそが重要!これで7割が決まるぐらい大切なので、詳しく解説しますね。

文章の冒頭でやらなければならないのは、無関心・批判的な感情が湧いている読者に、自分に関係しているかもという感情を起こすことです。つまり「自分事化」できるように導いてあげることです。難しそうに見えますが、誰にでもできる方法があるので、後ほどご説明します。

さらに、もうひとつ大切なことがあります。
それは、すべての人に興味を持ってもらうなんて無理ってことです。さまざまな嗜好や興味を持っている人がいる中で、全員を振り向かすなんて神にしかできません!でも多くの方がここでつまずきます。無意識に「読者=あらゆる人」と捉えて文章を書きはじめるのです。私も注意しないとそうなります。

誰か一人でも振り向かせば勝ちだと考えてください。世の中には、その誰かと同じような嗜好や興味を持った人がどこかにたくさんいます。そのことを信じて書き進めればOKです。

読者を自分事化させる方法①

読者を自分事化させる方法は2つあります。
まず簡単なのは、読者を自分だと想定して、どうすれば自分が読みたくなるかを考える方法です。

他人の夢の話に「もしこんなことが書いてあったら読んでしまうかも」ということをあげてみてください。

ザビエールになるための秘密の練習メニューを披露
ザビエールに直接会いにいって、会話をしたという話
体育の成績2だったのに、1年後に県大会ベストに出場したという話
サッカー選手というのは口実で、好きな芸能人と付き合うのが本当の夢

これなら自分は読むに違いありませんし、自分と興味が近い人も読んでくれます。あとは簡単。この中から書けるものを選ぶだけです。

たとえば「ザビエールになるための秘密の練習メニューを披露」を選び、ツッコミの返しを考えてみます。

へぇ〜、どんな夢なの?
→サッカー選手
どうせ、ありきたりな夢でしょ。
→ザビエールのような一流選手です!
そもそも、あなたは誰?
→サッカー部所属の中学3年生
他人の夢になんて興味ないんだけど・・・
→ザビエールに近づくための秘密の練習方法を見つけたんだけど、知りたくない?
その話って、私に関係ある?
→サッカー選手やアスリートをめざす人なら参考になると思うよ

次に、これを素材にして文章を書きはじめてください。けっして綺麗な文章を書いてやろうなんて思わず、素材をつなげるように書けばいいです。

私の夢は、サッカー選手です。中学のサッカー部に所属しながら、スペインリーグからJリーグに移籍し日本で活躍しているザビエール選手をめざして、練習を頑張っています。ザビエールに近づくなんて到底ムリって思われるかもしれませんが、実は秘密の練習メニューを考えて実践しています。同じサッカー選手をめざしているなら参考になると思います。

先ほどの文章を比べてどうでしょうか。「読んでみたい」という感情が湧いてきませんか。

綺麗な文章ではないですが、「読みたい」という気持ちを高めていることは確か。そんな文章こそ、うまくて、おもしろい文章といえるのではないでしょうか。

書けないなら、次の方法がある

自分が読みたい内容をあげたけど、どれも書けそうにない場合もあると思います。そもそも自分が経験や体験したことでないと書けないですよね。

その場合は、書かないが正解です。もしでっち上げて書くと、読者を騙すことになります。それは一番良くありません。
この方法がダメなら、2つ目の方法があるので安心してください。

ただ、今は書けなくても「ザビエールになるための秘密の練習メニューを披露」を実際に考え実践してみるのもアリです。そうやって文章を書くのも1つの楽しみだと思います。

読者を自分事化させる方法②

2つ目の方法は、実際の読者を想定し、その読者がどうツッこみ、それにどう返すかを考えていきます。

たとえば「私の夢」というテーマは学校の課題作文や入試によく出されるので、読者を「学校の先生」と想定します。「学校の先生」ならツっこむ内容が変わりますよね。以下のような感じでしょうか。

どんな夢なの?
→サッカー選手
具体的に教えてくれよ、おまえの本心を聞かせてくれ!
→ザビエールのようなプレイスタイルでゲームをつくる選手になりたい。ザビエールになるなんて冗談に思われそうで、誰にも言えなかったが本気です。
どうしてその夢をめざしたいわけ?
→ザビエールがかっこよすぎて、自分もなりたいから。
その話、私にどう関係してくる?
→初めて打ち明ける話、でも先生には知って欲しかった。

次は、先ほど同じように素材をもとに文章を書きはじめていきます。

私の夢は、サッカー選手です。それは先生もご存知かもしれませんが、でもここからは初めて打ち明ける話。これまで冗談に思われそうで、誰にも言えなかったけど、ザビエールのような超一流選手になりたいと思っています。プレイスタイルでゲームをつくるザビエールがかっこよすぎて、自分もなりたいと、ずっと前から憧れていました。

いかがでしょうか。もし先生だったら「もう少し詳しく読んでみたい」となりませんか。たぶん最初の文章だったら、そうならなかったと思います。
誰が読むのか、読者が決まっている場合は、2つ目の方法で書きはじめるといいと思います。

今回のまとめ

ここまで読んでくださり本当にありがとうございます。文章には「つかみ」が大切。それが奏功すれば7割は完成済み。あとの3割は、次回お話しいたします。

【1】
文章を書くとき、準備が欠かせません。即興で書こうなんて思わないこと。
【2】
読者は読む前にツっこんでいる。しかも批判的なツッコミが多い。そのツッコミへの返しをしないと、冒頭で読まれなくなります。
【3】
ツッコミ返しには、二つの方法があります。一つは、読者を自分だと想定し、ツッコミ返しを考えます。もう一つは、実際の読者の立場になりツッコミ返しを考えます。

お疲れさまでした。ありがとうございます。

最近の記事