文章が上手くまとまらない悩みを解消する簡単な方法

前回は、文章の「つかみ」についてお話をしました。その「つかみ」を書くことがいちばん重要で、これによって文章の7割が決まるともお伝えしました。では、残りの3割はどうしたらいいのか?

今回はその3割をお伝えして、文章をまとめていく方法を考えていきます。

残りの3割は「つかみ」を書く方法とそれほど変わりません。なので気構えず、すぐに実践できると思います。ただ、ちょっとだけ文章をうまく結ぶための、ひと工夫があります。漫才や落語でいえば「おあとがよろしいようで」というやつです。文章を書きはじめても、上手くまとまらない、何を書いているかわからなくなる、支離滅裂になる。そんな悩みも解消できる方法だと思います。

では、さっそく実践していきましょう。

いったん筆を止めることが大切

前回、「つかみ」を書いたことによって、文章の方向性が見えてきたと思います。たとえば、以下の前回の例文であれば、「夢を伝えるとともに、それをめざす練習メニューを公開していくよ」という、いわば「文章の核」がはっきりしてきました。

【前回の例文】
私の夢は、サッカー選手です。中学のサッカー部に所属しながら、スペインリーグからJリーグに移籍し日本で活躍しているザビエール選手をめざして、練習を頑張っています。ザビエールに近づくなんて到底ムリって思われるかもしれませんが、実は秘密の練習メニューを考えて実践しています。同じサッカー選手をめざしているなら参考になると思います。

たぶん、このまま書き進めていくことも可能だと思いますが、いったん筆を止めてみてください。
そして、前回の「読者を自分事化させる方法」でお伝えしたように読者を自分だと想定して、上記の文章を受けて感じること、思いつくことを、どんどんツっこんでみましょう。そのツッコミを、すべてメモしてください。

〇どんな練習メニューかを具体的に知りたい。
〇実際にどのように実践しているの?
〇部活動のときにやっているの?どれぐらいの時間や期間でやっているの?
〇その練習メニューは、どうやって思いついたの?何かを参考にしたの?
〇それって、部活のコーチーや監督にも見せた?
〇本当にそれでザビエール選手に近づけるの?
〇その練習メニューって、ザビエール選手もやっていたりするの?
〇練習メニューをはじめて、どれぐらいの期間が経った? 
〇効果があった?上手くなった?

いかがでしょうか。ここでのポイントは、あまり深く考えず、思いついたことをすべて書き出していくことです。

もしかしたら、すでにお気づきの方もおられるかもしれませんが、今回ツっこんでもらったことは、自分がこれから書きたいこと、そして読者が読みたいことだとわかります。それを簡単に視覚化できてしまうのが、いま作業してもらったことです。

一度、筆を止めて読者のツッコミを想像してみよう

ツッコミを並びかえて、構成を考える

ここまでくれば、文章を組み立てていくことが簡単になります。このツッコミを並べかえたり、取捨選択したりして、文章の構成を考えていくことができるわけです。たとえば、以下のように、ツッコミの内容が近いものをカテゴライズして、文章の構成をつくっていくことができます。

【練習メニューの内容、実践】
どんな練習メニューかを具体的に知りたい。
実際にどのように実践しているの?
部活動のときにやっているの?どれぐらいの時間や期間でやっているの?

【練習メニューをおもいついたきっかけ】
その練習メニューは、どうやって思いついたの?何かを参考にしたの?
その練習メニューって、ザビエール選手もやっていたりするの?

【練習メニューの効果】
練習メニューをはじめて、どれぐらいの期間が経った? 
効果があった?上手くなった?
本当に、それでザビエール選手に近づけるの?

このように構成を考えることができれば、文章を書いていく道筋に迷うことはありません。あとは、それぞれのツッコミに対して詳しい内容を書き進めていけばいいわけです。

もし文章の量が決められているときは、上記のツッコミから「読者=自分」がもっとも知りたいものだけを選んで、構成を組み立てていくといいです。

これなら「文章が上手くまとまらない」や「何を書いているかわからなくなる」ということがなく、「自分の書きたい=読者が読みたいこと」を書き進めていくことができると思います。

ツッコミを並びかえたり、組み合せを変えたりしてみよう

最後のひと工夫を忘れずに

ただ、これだけで終わりではありません。最終的に文章をどのように結ぶのかということも大切です。実は最初にお話をした「ひと工夫」というのが、ここで役立ちます。文章を仕上げるために欠かせないもの、料理でいえば盛りつけのようなものがあります。

それは、読者が読み終えたとき「こんなことを言ってもらいたい」という感想を思い浮かべ、実際に文章にしてみるということです。

先ほどの例文であれば、こんな感じになるでしょうか。

「練習メニュー、すごく参考になった!夢をめざすために、自分で練習を考え、実践する大切さがわかったし、夢をめざしがんばっていく勇気をもらえた」

実は、この感想こそが文章を書くことを通して筆者が読者にいちばん伝えたいことではないかと思っています。だからこそ、文章をまとめていくうえで絶対に欠かせないもの。特に文章を結ぶときに避けることはできません。

これを先ほどのツッコミの道筋に置いてみると、以下のようになります。最後はツッコミでなく「読者に持ってほしい感想」になります。

【練習メニューの内容、実践】
どんな練習メニューかを具体的に知りたい。
実際にどのように実践しているの?
部活動のときにやっているの?どれぐらいの時間や期間でやっているの?

【練習メニューをおもいついたきっかけ】
その練習メニューは、どうやって思いついたの?何かを参考にしたの?
その練習メニューって、ザビエール選手もやっていたりするの?

【練習メニューの効果】
練習メニューをはじめて、どれぐらいの期間が経った? 
効果があった?上手くなった?
本当に、それでザビエール選手に近づけるの?

【読後に持ってもらいたい感想】
練習メニュー、すごく参考になった。夢をめざすために、自分で練習を考え、実践する大切さがわかったし、夢をめざしがんばっていく勇気をもらえた

読者に持ってほしい感想がはっきりしたら、あとは、それを生み出すようなことを最後の結びとして書き、文章を仕上げていきます。

これまでとは異なり、難しく感じるかもしれませんが、読者に持ってほしい感想とは「自分が伝えたいこと」でもあるわけです。なので、深く考えず、それ自体を素材にすればいいです。

例文なら、こんな感じでまとめてみてはいかがでしょうか。

同じサッカー選手をめざしているなら、僕の練習メニューが参考になれば嬉しいです。ザビエール選手と同じピッチに立つまでにはものすごく道のりがになると思いますが、自分で練習メニューを考え、試行錯誤しながら続けていくことが大切さだと思っています。夢がどんなに大きなものだとしても、叶えるために自分で考え動いている人がいると、僕も勇気がもらえます。

読者は読み終えたとき、どんな表情をしている?どんな感想を持っている?期待している読者の感想を思い浮かべてみよう

これなら起承転結も簡単になる

今回の方法を活かすと、文章を組み立てていくことが、よりラクに、楽しくなると思います。さらに、この方法を「起承転結」に活かすこともできます。先ほど挙げたツッコミの一覧から道筋を考えるとき「起承転結」にそって並べかえてみてください。

【起】
前回の「つかみ」で書いた文章

【承】
どんな練習メニューかを具体的に知りたい。
実際にどのように実践しているの?
部活動のときにやっているの?どれぐらいの時間や期間でやっているの?
それって、部活のコーチーや監督にも見せた?
効果があった?上手くなった?

【転】
その練習メニューは、どうやって思いついたの?何かを参考にしたの?
その練習メニューって、ザビエール選手もやっていたりするの?

【結】
練習メニュー、すごく参考になった。夢をめざすために、自分で練習を考え、実践する大切さがわかったし、夢をめざしがんばっていく勇気をもらえた。

【転】では、話が大きく転換します。ツッコミのなかで、ほかと異なるものや、これまでと真逆のツッコミなどを配置してみると、「起承転結」という文章構成も組みやすくなると思います。

文章を書くことが楽しくなるように

いかがだったでしょうか。
「関西流の文章術」の基本的な考え方を3回の連載を通してまとめてみました。「関西流」を名乗ることに異論があるかもしれませんが、ボケとツッコミの漫才文化が醸成した関西で自分が育ったことは、この文章術を考えるうえで欠かせないものだったと思います。

15歳のころは、国語の授業も、文章を書くことも嫌いでした。でも、ある時「これって漫才かも」と思いはじめると、文章を書くことが楽しくなりました。「読者と漫才しながら文章を書く」という新しい視点を見つけたおかげです。
苦手なものでも新しい視点が見つかると、それにハマることもあります。国語が好きじゃない、そんな方も「関西流の文章術」を用いることで少しでも文章を書く楽しさを感じてもらえたら嬉しいです。

今回のまとめ

3回の連載を通して「関西流の文章術」のベーシックな考え方をお伝えしました。例文もベーシックなものでしたが、いろんな文章に活用できます。さらに、この考えを発展・応用していくと、もっと豊かな文章を書くことができます。そんな応用術もまたお話したいと思います。

【1】
いったん筆を止め、まずは「つかみ」に対して読者がツっこみそうなことをどんどんメモしていきましょう。
【2】
メモしたツッコミは「自分が書きたいこと=読者が読みたいこと」です。それをカテゴライズしたり、並べかえたりすることで、文章の道筋をつくることができます。
【3】
文章を結ぶためのひと工夫。読み終えたあとに読者に持ってほしい感想を考えて文章にします。それを素材に最後の結びを書いていきましょう。

お疲れさまでした。ありがとうございます。

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