もう一つは、心理学的な視点からの話です。
人前で話すのが苦手だったり、あがり症なのは、心理学的な視点で見ると、自分が世界の中心にいて、誰もが自分に注目し、その一挙手一投足を気にしているという過度な自己意識があるようです。
誰にも好かれたいから、失敗はできないし、みっともないこともできない。また、他人と違うようなこともできない。そんな恐れが緊張や苦痛としてあらわるようです。
これは、心理学者の根本橘夫さんの著書『人と接するのがつらい』で読んだことなのですが、ちょっと驚きでした。
まさか自分が「かまってちゃん」だったとは…。外交的な人のほうが「かまってちゃん」と思っていたのは誤った先入観で、むしろ孤独が好きそうな内向的な人のほうがそんな潜在的な願望を持っていたのです。
でも、この潜在的な心理を知ると、開きなおりました。
もう二度と会わないかもしれない人や、すっごく嫌いな人など、本来はどうでもいいような人にさえ、好かれたいと思い、それが緊張や苦痛になっているのですから。そこまで自分を良くみせたいかと意識するだけでだいぶラクになりました。
わたしは、大勢の人の前で話す機会があれば、「一度も会ったこともない人、これからも一生会わないかもしれない人にも、自分は好かれたいと思っているのか、アホだな」と唱えています、それだけで、だいぶ気持ちが落ち着きます。